ジェフ千葉のJ1昇格から「良い組織」を考える

皆様は「沼」という言葉をご存知でしょうか。私はよく知っています。なぜなら、ジェフユナイテッド市原・千葉のサポーターだからです。

2025年、ジェフユナイテッド市原・千葉は実に17年ぶりとなるJ1昇格を果たしました。17年。生まれたばかりの赤ちゃんが、反抗期を経て高校生になるだけの時間です。この間、我々ジェフサポーターは「J2」という名の底なし沼で、「今年こそは」という根拠のない希望を抱いては、秋風が吹く頃に絶望に沈むというサイクルを16回繰り返してきました。

一つの企業として考えてみてください。「第一部上場(J1)への復帰」という全社目標を、16期連続で未達にした組織です。普通なら株主総会は阿鼻叫喚です。では、なぜそんな組織が突如として息を吹き返し、J1昇格というドラマを起こせたのか。そこにはきっと私たちも学ぶべきことがあるはず。

ということで、今回はジェフ千葉の昇格ストーリーから「良い組織とは何か」ということについて考えてみましょう。

1. 鈴木健仁前GMの「風土づくり」

業績が低迷している組織がやりがちな罠があります。それは「凄腕の外部人材を連れてくれば、一発で解決するだろう」という幻想です。かつてのジェフもそうでした。外国人やネームバリューのある選手を獲得しては機能せず、という有名選手ガチャを延々と回し続けていたのです。

このループを断ち切ったのが、鈴木健仁前GMでした。彼は2021年のGM着任(前年テクニカルとして千葉に入団)後、獲得選手を知名度やカタログスペックではなく、「ジェフのフィロソフィーに合うか」「クラブに良い雰囲気をもたらすか」という、カルチャーフィット(価値観の適合)を基準にした人事戦略へと舵を切ったと思います。

ビジネスに置き換えれば、いくら技術力が高くても、チームの和を乱したり、会社のビジョンに共感しない「優秀な一匹狼」は採用しない、ということです。この「誰をバスに乗せるか」という地道でブレない方針が、後述する強靭な組織の土台を作りました。

2. 「自社DNAのサルベージ」:小林監督のパーパス探求

そしてそんな鈴木GMが招聘したのが小林慶行。2021年、2022年の2年間をコーチとして過ごし、2023にチームの指揮を任された彼の行動も、組織論として特筆すべきものでした。

新しいリーダーが着任すると、大抵は「自分のやり方(新しい戦術やルール)」をトップダウンで組織に押し付けたがります。しかし小林監督は違いました。彼は着任後、クラブの歴史を知るOBたちを自ら訪問し、「そもそも、ジェフのサッカーとは何なのか?」を問うて回ったらしいです。

これはビジネスにおける「コーポレート・アイデンティティ(CI)の再定義」そのものです。外部の流行りモノのOSを無理やりインストールするのではなく、自社のDNAの奥底に眠っている「自分たちの本当の強み・アイデンティティ」を掘り起こし、言語化する。このルーツ探求の旅があったからこそ、「俺たちは泥臭く走り、戦う集団なのだ」という揺るぎないパーパスがチームに宿ったのです。

3. 「一体感」が呼び起こした逆転劇

この「カルチャー採用」と「パーパスの再定義」が結実したのが、2025年のJ1昇格プレーオフ準決勝、大宮戦です。後半20分過ぎ時点で0-3という、プロジェクトで言えば「炎上どころか灰燼に帰した状態」から、ジェフは信じられない逆転劇を演じました。あれは奇跡ではなく、組織構造の勝利です。

全サッカーファンに見て欲しいこの試合

真の心理的安全性とは、「自分が前線でリスクを取れば、後ろの人間が必ずカバーしてくれる」という、相互信頼の上に成り立ちます。誰かがミスをしても、それを補って余りある運動量で全員が火消しに走る。前GMが構築した健全なカルチャーと、監督が根付かせた「ジェフらしさ」が、絶望的なビハインドを引っくり返す異常なまでの連帯感を生み出しました。

おわりに

16年間のJ2生活は、確かに地獄でした。しかし、ジェフ千葉はその地獄の底で「一発逆転の魔法はない」と悟り、カルチャーに合った人材を集め、自らのアイデンティティを再定義するという、極めて本質的な組織の骨格を手に入れました。

翻って、我々の組織はどうでしょうか。 「一発逆転の魔法のツール」を探してはいませんか? 会社のアイデンティティを忘れ、バラバラの方向を向いてはいませんか?

ジェフ千葉の歩みは、どんなに泥臭くても、自らのDNAを理解し、正しいカルチャーを持った仲間と正しい努力を続ければ、組織は必ず浮上できるということを教えてくれています。我々も、それぞれのビジネスのピッチで、周囲を熱狂させるような仕事を作っていきましょう。

そしてフクアリでジェフを一緒に応援しよう!WIN BY ALL!!

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


関連記事